まとめ連合

俺の人生史上最高だった経験を語ろう。幼馴染「俺君… DTなの? 私でよければ…」 物凄く可愛くて仲良しな幼馴染との行為が、俺の初体験になった。

40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:08:55.49 ID:t7XC+KI9o



人に噛み付きたいお年頃なのだと納得し、その後もめげずに声をかけるようになった。



 あるときは階段の下から――



「黄色!」



「――ッ!!」



 あるときは廊下で転んだところに彼女が歩いてきて――



「水玉! 青地に白!」



「……」



 あるときは彼女とぶつかって転んだときに身体が絡み合い、体操服の隙間から――



「白!」



「……死ね」



 ということを何度か繰り返していたら、普通に嫌われた。よくよく思い返してみれば当然かもしれない。

 自己嫌悪。でも全部事故だ。実際に口に出したのは自分だけれど。









41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:09:39.75 ID:t7XC+KI9o



「あのさ」



 考え事をしていたらふたたび声をかけられる。



「お弁当、どうしたのって聞いてるんだけど」



「……ええと」



 教室に忘れてきた。妹の手作りだった。

 親が忙しいのでいつも妹が作っているのだが、美味い。常に食べきっている。

 昨日は食べられたか覚えていない。というか昨日の記憶がない。



 死にたくなってきた。



「どうしたの?」



 なにやら(心配そうに)下から覗き込まれる。カッコ内はの妄想。



「よせやい、照れるぜ」



 茶化す。



「死ね」



 笑いながら死ねと仰られる。

 なんだか今日はご機嫌のようだ。









42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:10:08.65 ID:t7XC+KI9o



 孤高のロンリーウルフである彼女は、通称を屋上さんという。

 なんか屋上にいるから、屋上さん。

 あだ名ばっかりの学校だ。

 名前を聞いても教えてくれないので、俺がつけた。



 髪型はポニーテール。この歳になるとなかなかお目にかかれない。

 陸上部に所属していて、いつもハードルを越えてる。すごい。やばい。足が速い。クラスが違うので詳しいことは知らない。



「食べる?」



「は?」



 何かを差し出される。

 コンビニのサンドウィッチだった。



「……ミックスサンドだけど」



 まるでツナサンドじゃないことが申し訳ないみたいな言い方だった。



「いいじゃんミックスサンド、好きだよ」



 思わずミックスサンドをフォローする。実際好きだ。ツナサンドも嫌いじゃない。



「そう?」



 なぜか照れてるように見える。言うまでもなく妄想に違いない。









43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:10:35.31 ID:t7XC+KI9o



「ありがとう、もらうよ」



「べ、別に。余ってたってだけだから」



「ありがとう」



 なにやらツンデレっぽい発言だが、彼女が実際にツンデレだというわけではない。現実でそんなのいるわけない。

 実際、好かれるようなことはやっていないのだ。



 ――が、嫌いな人間にすらサンドウィッチを分けるこの優しさ。心に傷を負ったタイミングでこんなことをされれば、当然、



「やばい、惚れる」



 となる。



「は?」



「つらいときのやさしさは身に沁みる。結婚しよう」



「死ね」



 とたんに不機嫌になった。屋上さんは扱いが難しい。現実でも選択肢がでれば、間違ったほうは選ばないのに。









44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:11:01.76 ID:t7XC+KI9o



「なぁ、屋上さん」



「なによ?」



「エロゲの主人公ってさ、バッドエンドの後、どんなふうに過ごしてるのかなぁ」



「……いや、知らないし。エロゲとか」



「だよなぁ」



 現実は厳しい。



「食べないの? それ」



「食べる」



 もさもさとサンドウィッチを口にする。ぴりぴりとした味が舌に広がった。調味料がききすぎてる。



「生きてんのつれー」



 屋上さんはどうでもよさそうにフェンスの向こうを眺めていた。



 その後屋上さんと恋について話をした。ちょっと思わせぶりに振舞うためだ。



「屋上さん、好きな人いる?」



「あんたには関係ないでしょ」



 あっさり切り伏せられた。









45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:11:27.85 ID:t7XC+KI9o



 その後、理由なく保健室に向かった。保健の赤嶺先生はいなかった。ちょっと期待してたのに。



 教室に戻ると幼馴染が声をかけてきた。



「どこいってたの?」



「ナンパ」



「そ、そうなんだ……」



 なぜだかショックを受けている。フラグかと思ってちょっと期待した。

 が、俺だって幼馴染が逆ナンしてたら普通にショックだ。

 深い意味がないだろうことに気付いて無意味に落ち込んだ。



 席について妹の弁当を食べた。

 美味かった。好きなおかずばかりだった。優しさと励ましが垣間見えた。

 あいつが何か困っていたら全力で助けようと涙ながらに誓った。



 でも冷食だった。そりゃそうだ。









46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:12:10.08 ID:t7XC+KI9o



 気付けば午後の授業が終わってた。授業を聞いた記憶もない。当然、内容も何も覚えていなかった。



「……期末、近いんだぜ」



 冗談めかして自分に言うと、声が震えていた。



「どうしよう」



 周囲を見回すとサラマンダーもマエストロもいなかった。ぶっちゃけ二人以外仲のいい友人なんていない。



「孤独だ……」



 世間の風にさらされる。

 人間なんてひとりぼっちだ。



 切なくなってドナドナを歌っていたら、うしろから声をかけられた。



「チェリー」



「チェリーっていうな」



 うちのクラスでのあだ名の普及率は一日で100%(担任含む)。



「そんなに童貞がつらいか」



 女子だった。

 やたら下ネタ率が高い茶髪だ。

 化粧が濃い。睫毛の盛りがホラー的である。



 化粧を落とすと目がしょぼしょぼしてて眉毛がないに決まっている。

 でもいい身体をしていた。

 前にそれを言ったら数日間女子に無視された。

「無視するなよう!」と駄々をこねたら「きもかわいー」って許してもらった。おかげで大事なものを失った気がする。全面的に俺が悪いが。









47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:13:09.50 ID:t7XC+KI9o



「童貞は関係ないです」



 冷静に言ったつもりだったが、現実には女子に下ネタ振られて童貞らしく動揺しているだけだ。 

 茶髪は俺の心の機微を意にも介さず話を続ける。



「ヤらせてやろうか」



 情緒のない女だ。



「ぜひ」



 でも童貞のセ○クスに情緒は必要ない。二秒で結論を出した。

 幼馴染が心配そうにこっちを見ていた。睨み返す。裏切りものめ、と視線に乗せて送った。

 幼馴染は見る見る落ち込んでいた。何やってんだ俺……。



「何やってんだおまえ」



「俺が知りたい」



 本当に。



「まぁいいか。それで、いくら出す?」



「いくら、と申されますと?」



 嫌な予感。



「諭吉さん」



「それ犯罪!」



「愛があれば金の有無なんてちっぽけな問題だから」



「……えー」



 ドン引いた。「金の有無」の意味が違うだろう。











48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:13:39.55 ID:t7XC+KI9o



「冗談だよ、冗談」



 煙草に酒に乱交までやってそうな茶髪が言うと冗談とは思えない。



「まぁ、童貞だからってそんな気にするなよ、童貞。別に童貞だからって犯罪ってわけじゃないしな。だろ、童貞」



 茶髪が言うと、うしろで数人の女子がくすくす笑った。

 屈辱。でもなんだか興奮する。

 

 嘘だ。



「かくいう私も処女だしな」



「それも嘘だ」



 思わず反論してしまった。

 茶髪は気を悪くするでもなく気だるげに笑う。そのあたりが彼女の魅力だ。気だるげな、おとなのおねえさん的魅力。

 

「まぁ、あんまり落ち込むなよ、おまえが落ち込むと、あれだ。どっかで悲しむ奴がいるかも知れない」



 茶髪になおと的な励ましをもらった。意外と神経質な性格だったりするのかも知れない。

 普通に元気付けられてしまった。



「ありがとう茶髪、チロルチョコやるよ!」



「いや、チュッパチャップスあるし」



 チロルチョコとチュッパチャップスの間にどのような互換性があるかは謎だが、どちらもチが二つ着いてる。

 略すとチチだった。



 チチ系フードと名づけた。



 すぐに飽きた。









49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:14:31.10 ID:t7XC+KI9o



 チョコを食べながら部室へ向かう。ポケットにしまおうとした銀紙が廊下に落ちて、通りすがりの保健の赤嶺先生に叱られた。

 巨●だった。



 わざとじゃないんです、と言った。

 そうなの? と聞かれた。

 そうなんです、先生と話がしたくてげへへへへ、と言った。

 あらそうなの、とさめた声で言われた。



 赤嶺先生の脳内評価では、俺は鈴木以下だった。鈴木がどうというのではないが、男として劣っていると言われたみたいで悔しかった。

 

 そのまま何事もなく先生と別れた。つくづく女性と縁がない。

 部室についてすぐ、そんな不満を部長に言うと、彼女は呆れたようにため息をついた。



「あ、そうですか……」



 正真正銘呆れている。



 部長は三年で、今年で文芸部も引退。それを思うと少し切ない。



 文芸部は部員数が二十数人の人気文化部で、基本的には茶飲み部だ。部室は第二理科実験室。

 女子数はワープロ部に負けず劣らず多いが、男子率も比較的高い。

 

 普段はお菓子を食べながら好き放題騒ぎまくり、年に一度の文化祭に文集を制作、展示する。



 ちなみに、今年度の文集での俺の作品は「きつねのでんわボックス」の感想文だと既に決まっていた。顧問と部長に許可は取った。呆れられた。









50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:15:44.50 ID:t7XC+KI9o



「大変ですね」



 部長は会話が終わるのを怖がるみたいに言葉を続けた。ちょっと幼い印象のする容姿の彼女は、面倒ごとを押し付けられやすい体質。

 お祭り騒ぎが好きで面倒ごとが嫌いな文芸部の先輩がたは、お菓子を食べながらがやがや騒いでいる。

 ちょっと内気そうな彼女が、パワフルな先輩たちに面倒な仕事を押し付けられたであろうことは想像にかたくない。



 それを想像するとちょっと鬱になるので、部長が大の文芸好きで、文に関しては並ぶものがいないから部長になったのだという脳内エピソードまで作った。



 すごくむなしい。一人遊戯王並にむなしい。



「部長、どうしたら女の人と付き合えますか?」



 せっかくなので聞いてみる。部長は困ったように眉間を寄せて考える仕草をした。



「告白、とかどうです?」



 清純な答えに圧倒された。同時に正論だった。



「部長、気付いたんですけど俺、好きな人いませんでした」



「どうして彼女が欲しいんですか?」



 部長が心底不思議そうに首をかしげる。ぶっちゃけエロいことするためだが、そんなこと部長にいえるわけがない。



「愛のため?」



 適当なことを言った。言ってからたいして間違ってないことに気付く。



「素敵ですね」



 案外ウケがよかった。



 その日の部活はつつがなく終わった。









51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:16:13.61 ID:t7XC+KI9o



 家につくと妹が料理していた。

 後ろから抱きしめた。もがかれた。そのうち大人しくなった。十分間じっとしていた。お互いの息遣いと時計の針の音だけが聞こえる。

 背の低い妹の肩は俺の胸元にすっぽり収まる。妹のつむじに鼻先を寄せて触れさせた。息を吸い込むとシャンプーのいい匂いがする。

 妹の肩が抵抗するみたいにびくりと震えた。それもすぐに収まる。目の前に妹の黒い髪が艶めいていた。



 腕の力を強めると妹は足の力を少し抜いたみたいだった。自分の息遣いがいやに大きく聞こえる。

 身体を密着させると妹の身体の細さと小ささがはっきりと分かった。服越しに感じるぬくもりに、なぜだか強く心を揺さぶられる。



 目を瞑ると深い安心があった。腕の感触と鼻腔をくすぐる香りに集中する。妹の身体に触れている部分が、じわじわと熱を持ち始めた。

 それと同時に焦燥のような感情が生まれる。罪悪感かも知れない。

 

 俺は何をやってるのだろうと、ふと思った。 



 冗談のつもりが、思いのほか抵抗がなかった。

 なぜか心臓がばくばくしていた。妹相手なのに。顔も熱い。



 危ない雰囲気。これ以上はまずいだろうと思ってこちらから拘束を解除した。

 俺を振り向いた妹の顔は、暑さのせいか少し赤らんで見えた。瞳が少し潤んでいるようにも見えた。多分それは錯覚。



 直後、彼女が右手に包丁を握ったままだったことに気付いてさまざまな意味で戦慄した。

 危ねえ。やばそうだと思ったら放せ。俺が言えたことじゃない。



「晩御飯抜き」



 クールに言われる。後悔はない。

 実際には既に準備をはじめていたらしく、食卓には俺の分の食器も並べられていた。



「愛してる」



「私も」



 愛を語り合った。妹は棒読みだった。









52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:16:41.59 ID:t7XC+KI9o



 夕飯のあと、部屋に戻ると幼馴染の顔が頭を過ぎった。



「やは」



 ごまかし笑いが出た。

 

 せっかくなので幼馴染がサッカー部のなんだかかっこいい先輩と別れて俺と付き合うことになる妄想をしてみた。

 亡き女を想う、と書いて妄想。



 なかなか上手く想像できず、妄想は途中で舞台設定を変えた。俺が延々「一回だけでいいから!」とエロいことを要求している妄想だ。



「じゃあ、一回……だけだよ?」



 仕方なさそうに幼馴染が言う。よし、押して押して押し捲れば人生どうにでもなる。

 幼馴染はじらすような緩慢な動きで衣服のボタンをひとつひとつはずしていった。指定シャツの前ボタンをはずし終える。

 彼女はそれを脱ぎ切るより先にスカートのジッパーを下ろした。

 できればスカートは履いたまま、上半身だけ裸なのが理想だったが、そんな男の妄想が女に通用するわけもなかった。

 下着だけの姿になった幼馴染が俺の前に立つ。明らかに育っていた。子供の頃とは違う。女の身体だった。



「……ねえ、あの、あんまり、見ないでほしい」



 顔を真っ赤にして呟く。俺は痛いほど勃起していた。

 彼女は俺がひどく緊張していることに気付くと、蟲惑的な、からかうような、見下すような微笑をたたえる。

 ベッドに仰向けになった俺に、彼女が覆いかぶさった。主導権が握られたことは明白だ。









53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:17:52.04 ID:t7XC+KI9o



「心配、ないから。ぜんぶまかせて……」



 俺は身動きも取れないまま幼馴染のされるがままになる。気付けば上半身はすべて脱がされていた。

 体重が後ろ手にかかっている上に、シャツが手首のところまでしか脱げていないので、手が動かせなくなった。

 彼女は淫靡な手つきで俺の身体に指先を這わせた。彼女に触れられたところがじんじんとした熱を持つ。

 それは首筋、胸元、わき腹、臍を静かに通過して下半身へと至った。

 一連の行為ですっかり反応した俺の下半身に、ズボンの上から彼女の指が触れる。びくびくと中のものが跳ねた。



 圧倒的だった。



 圧倒的、淫靡だった。



 ズボンの留め具がはずされ、制服のチャックが下ろされていく。途方もなく長い時間そうされている気がした。

 その間ずっと、俺は幼馴染の熱い吐息に耳を撫でられ続けているような気分だった。



 見られる、と思うと、とたんに抵抗したい気持ちになった。それなのになぜか、早く脱がしきって欲しいとも思っていた。

 少女に脱がされるという倒錯的な感覚も相まって、頭がぼんやりして息苦しくなるほど快感が高まっていく。

 胸の内側で心臓が強く脈動している。破裂する、と比喩じゃなく思った。



「あはっ……」



 ズボンが太腿のあたりまで下ろされると、トランクスの中で脈打つ性器の形が幼馴染に観察されるような錯覚がした。









54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:18:15.50 ID:t7XC+KI9o



「脱がすよ……?」



 答える暇もなく、彼女は手を動かす。脱がされるとき、彼女の指先が皮膚をなぞって、そのたびゾクゾクとした快感を身体に残した。

 貧血になりそうなほど、血液が下半身に集中している。



「……かわいい、ね」



 ――何かが決定的に間違っていた。

 でも勃起していた。勃起しているんだから、まぁ、間違っていようとしかたない。



 幼馴染の視線をなぞって、ようやく違和感の正体に気付いた。



 妄想の中の例のアレは、なぜだか包茎だった。

 しかも早漏であろうことがすぐに分かった。

 

 でもよくよく考えたら現実でも早漏だった。

 ので、変なのは包茎だけだ。



 幼馴染は俺の腰のあたりに顔を近付けて、じろじろと観察した。

 あまつさえくんくん臭いまで嗅いでいた。









55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:18:47.63 ID:t7XC+KI9o



「へんなかたち。先輩のとちがう……」



 先輩は剥けてるらしい。

 知りたくない情報だった。



 寝取ってるはずなのに寝取られてる感じがする。



「ね、なんでこんなに皮があまってるの?」



 無垢っぽく訊きながら、彼女が人差し指でつんつん突付く。思わずあうあうよがる。



「変な声だしてる。かわいい」



 言いながらも彼女は手を止めない。



「ね、なんか出てきてるよ?」



 彼女の言葉にどんどんと性感を刺激される。

 ソフトながらも言葉責めだった。



 まさか先輩がソフトエムなのではなかろうな、と邪推する。



「きもちいーんだ?」



 照れた顔で微笑んで、手を筒状に丸めアレをゆっくりと焦らすように擦る。



「やば、い……って!」



 すぐ限界がきそうになる。ゆっくりなのに。

 童貞早漏の面目躍如だ。ぜんぜん誇らしくない。









56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:19:20.81 ID:t7XC+KI9o



「すぐ出しちゃうのは、もったいないよね」



 幼馴染は手を止めて荒い息をする俺の表情を見て、恍惚とした表情を浮かべた。今の彼女はメスの顔をしている。



「ね。……入れたい?」



 熱っぽい顔で幼馴染が言う。意識が飛びそうだった。答えは決まっていたが、俺は息を整えるのに必死で何も言えなかった。



「黙ってちゃ分からないよ?」



 どう考えても黙ってても分かっていた。いつの間にこんな魔法を覚えやがったのか。

 砂場の泥で顔を汚していた幼馴染はどこへ言ったのだろう。

 俺が少ない小遣いで買ってあげた安っぽい玩具の指輪はどうしたのだろう。

 いつの間に――こんなに歳をとったのだろう。 



「……あんまりいじめるのもかわいそうだし、ね」



 彼女は下着をはずし、俺の下半身に腰を近付けた。体温が触れ合う。奇妙な感じがした。でも不満はなかった。

 しいていうなら、お○ぱいさわってねーや、と思った。腕が動かないので触れない。

 仕方ないのでじっと見つめていると、しょうがないなぁ、と言うみたいに、彼女が俺の頭を抱え込んで胸元に招きよせた。

 いい匂いがした。近くで見ると彼女の肌は精巧な硝子細工みたいになめらかで綺麗だった。何のくすみもない。恐ろしく美しかった。

 でも、体勢がつらそうだな、と思った。









57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:19:44.88 ID:t7XC+KI9o



「じゃあ、いくよ?」



 いよいよだ。やっと……遂に……俺も、童貞じゃなくなるんだ。

 さらば青春。美しかった日々。さようならサラマンダー。さようならマエストロ。俺は一足先に大人の階段を登る。

 そして、今までつらい思いをさせてきて悪かったな、相棒。



 なあに、たいしたことじゃないさ、と相棒が彼女のお尻の下で応えた。

 彼女がゆっくりと腰を下ろしていく。足を両脇に開いた姿がよく見えて、その姿だけで俺は一生オカズに困らない気がした。



 そんなことを思っていたら、もうすぐ秘部同士が触れ合いそうだった。何か、余韻のようなものがあった。

 これで、俺の人生はひとつの区切りを迎えるのだ。そう考えると、不意に何かを遣り残しているような気分になった。

 

 喪失の気配。もうすぐ何かを失うような、そんな気配。



 本当に良いのか? と頭の中で誰かが言った。

 幼馴染とこんなふうにして。何もかもうやむやなまま。彼女には恋人がいて、でも俺は童貞だった。

 童貞だから仕方ない、と誰かが言った。まぁ、そんなものかもしれないな。童貞だし。



 なんだかとても、悲しかった。









58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:20:11.11 ID:t7XC+KI9o



 ――そのとき、不意に後ろから声がした。



「……おい、時間だ。そろそろ起きろよ、相棒」



 下の方の相棒じゃなかった。



 どう考えてもなおと(目覚まし)の声だった。



 ――やっぱり邪魔しやがったか。



 そこで俺の妄想は途切れた。









59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:20:37.64 ID:t7XC+KI9o



「なおとおおおおおおお――――!!!」



 我に返った俺はひとまずなおとに対して攻撃を放った。

 

「右ストレート! 右ストレート!」



 技名だ。内容的には左フックだった。



「あとちょっとで! あとちょっとで!」



 たぶん俺は一生なおとを恨むに違いない。他方、感謝もしていた。あのまま妄想が続いていたら後悔していただろう。

 幼馴染を妄想の中で慰み者にするなんて、男の風上に置けない。童貞の風上には置ける。



 その後、部屋の隅でインテリアとなっていたアコースティックギターを抱えて「悲しくてやりきれない」を弾き語った。

 

 空しさだけが残った。



 アウトロに入った頃、妹が部屋のドアを開けた。



「お風呂入らないの?」



「一緒に?」



「入りたいの?」



「入りたいよ?」



 兄として当然の答えだった。それに対する返事もまた、



「ありえないから」



 妹として当然の答えだった。



 風呂に入った後、布団に潜り込んだ。ちょっと涙が出た。もう幼馴染なんて知らない。

 さっきの妄想を思い出すと勃起した。死にたい。









60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:21:13.80 ID:t7XC+KI9o



 寝付けなかったので深夜二時に台所にいって冷蔵庫の中の麦茶を飲んだ。作ったのは妹。

 幼馴染がハイスペックなように、うちの妹もハイスペックだ。



 そんな妹も、いずれは他の男の女になる。



 むなしい。

 目にいれても痛くないのに。

 せめて悪い虫がつかないでくれと祈るばかりだ。



 麦茶を一杯飲むと妙に頭が冴えた。



 コップの中身を飲み干してから溜息をつく。



「……彼女、欲しいなぁ」



 むなしさばかりの夜。

 

 五分後、布団にくるまってゆっくり眠った。









61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:22:22.86 ID:t7XC+KI9o



 その日、変な夢を見た。



 夢の中ではなおと(目覚まし)が擬人化していた。



「なぁ、なおと……どうやったら、童貞卒業できるのかな」



 真剣な悩みだった。

 なおとはダンディに答える。



「……恋、しちゃえばええんちゃう?」



 夢の中のなおとはエセ関西弁だった。



「っていっても……好きな人とか、いないし」



「ちょっと気になる子とか、おらんのん?」



 本当にこれ関西弁か? と疑問に思った。



「気になる子……」



 俺は仲の良い何人かの女子の顔を思い浮かべた。



 幼馴染(彼氏持ち)。屋上さん(嫌われている)。茶髪(化粧すごい)。部長(距離がある)。妹(血縁)。



「いや、妹はナシだろう」



 自己ツッコミ。









62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:23:40.14 ID:t7XC+KI9o



「それをナシにしても障害ありすぎだろ……」



「たとえば?」



 なおとは標準語のイントネーションで訊ねた。



「彼氏とか、嫌われてたりとか、ろくに話したことなかったりとか……」



 目覚まし時計が呆れたように溜息を吐く。



「なんだよ?」



 ちょっと不服に思って問い返すと、なおとは静かに答えた。



「障害くらい、なんだっていうんだ。ちょっとくらいの壁、乗り越えろ。男だろ」



 ダンディだった。

 こんな男になりたい、と真剣に思った。

 目覚まし時計に諭されてるあたり、自分が本気で情けなくなる。



「恋人がいるくらいなんだ! 本気で好きなら寝取れ! 『遠くから彼女の幸せを祈ってる』なんて馬鹿な言い訳はやめろ!

 好きでもない男に幸せを祈られてるとか女からしたら気持ち悪いだけだ! 好きなら彼氏がいようと直球でいけ!

『彼女が幸せならそれでいい』とかな、自分に酔ってるだけ! 気持ち悪いんだよ!

 女なんてラーメン屋と一緒だ! いい店なら客がいて当たり前なんだよ! 彼氏のいないイイ女なんているわけねえだろ!

 分かったら電話をかけろ! 話しかけろ! 家まで押しかけろ! しつこく声をかけ続けろ! 嫌になるまで諦めるな!」



「……なおと」



 最初の方には感銘を受けかけたが、最後の方は普通にストーカー理論だった。

 あと途中でうちの妹さまに対する悪口が聞こえた気がする。

 あえて彼氏を作らない、そんないい女だっていると思います。









63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:24:07.47 ID:t7XC+KI9o



「ろくに話したことがない!? だったら話しかければいいだろうが! 仲良くなればいいだろうが! 自分の臆病を棚にあげて何が障害だ!

 おまえが少し勇気を出せば変わる問題じゃねえかよ! 嫌われたくない? 馬鹿にすんな! 相手にされないくらいなら嫌われた方がマシだ!

 嫌われたらなんだよ! 嫌われたらおまえは生きていけないのか? 人間なんて生きてれば理由があろうとなかろうと嫌われるもんなんだよ!

 話しかけられないなんていう臆病な言い訳は実際に嫌われてから言え!」



「いや、実際に嫌われてたりするんだけど」



 屋上さんとか隣席の眼鏡っ子を思い出す。

 どう考えても嫌われていた。



「おまえはその子の心が読めたりするのか?」



「え?」



「あのな、自分が好かれていると思うのが勘違いなように、自分が嫌われていると感じるのも思い込みなんだよ」



「そんなこと言われても……」



 実際に言われたわけだし。



「素直になれないだけかもしんないじゃん! ツンデレかもしんないじゃん! 勝手に判断すんなよ!『俺のこと嫌い?』って真顔で聞いてみろよ!」



「できるかそんなこと!」



「このヘタレめ!」



 もう意味が分からなかった。

 面倒になったので右ストレートを発動してなおとを黙らせた。









66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/24(日) 12:39:34.44 ID:I7LfFhqIO



素晴らしい









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