まとめ連合

おとり捜査で犯人に気持ちよくされてしまう女刑事・・・

交通課を経て、去年刑事課に異動となったこの女性は、空き巣、痴漢、万引きといった軽犯罪を主に担当していたのだが、今日のミーティングには山下の指示で出席をしていた。

「そりゃ先輩、確かに暑いですけど・・・」

高水は水元の下でいろいろと手ほどきを受けたこともあり、先輩、先輩、となついている。

「アパート2階でしょ、安心しちゃうわよ、そりゃ」

そんな沙紀の発言を受けつつ、山下が批判めいた口調で続けた。

「確かに安心しきった女子大生の巣窟だよ、ここは」

現場となったコーポフレアは3階建て、全15部屋。一人暮らし用、1Kの部屋は、ほとんどが徒歩圏内になる明星女子大学の学生によって占められていた。



「4週間で4件目、犯人はよほど味をしめてるだろうよ」

山下はそう言いながら、ホワイトボードを使っての概要説明を終え、席に着いた。

「主任、犯行は全て日曜深夜、というか月曜早朝ですね。これはどうお考えですか」

沙紀のその指摘に、室内の連中は山下に注目する。

「まあ、真面目な学生なら月曜午前は授業だからな。一番寝入っている可能性が高いってことで、狙いをつけてるんじゃねえのかな」

ペットボトルの水を口にしながら、山下は答えた。



「とすると、また今週日曜日が・・・・。これは張り込みましょうよ、主任」

高水が安易にそう提案する。

「張り込みはまあ当然だがな、こっちとしては現場をしっかりと押さえたい。あそこのベランダは死角が多くて道路からはちょっと見づらいしな」

「現場ってことは、室内に踏み込んだところ、ですか」

「まあ、そうだ。とにかく犯人はまたコーポフレアに舞い戻ってくることは間違いないよ」

「現場、か・・・・」

高水がそうつぶやいたとき、山下は視線を沙紀に向け、そして唐突な内容を口にした。

「おい水元、お前、おとりにならんか」

「えっ!?」

沙紀は牝猫のようなその瞳を一瞬輝かせ、山下を見た。くっきりとしたその瞳は、沙紀の顔立ちのよさを際立たせるものであった。



「そうだ。おとりだ」

軽い調子で言う山下に、沙紀はあっけにとられた。

「この暴行は2階か1階に被害が集中している。で、先週の犯罪の前にだな、ベランダが物色されたような形跡がある部屋が2階にあるんだ。幸い、そこは施錠されていて犯人はあきらめて隣の部屋に行ったらしいが」

沙紀はただ黙って、山下の言葉の続きを待った。



「どうもその部屋は先週だけじゃなく毎週狙われているようなんだ。今度も犯人はそこをチェックする可能性は高い。で、その部屋の住人として水元に一泊してもらうんだよ」

「い、一泊って・・・」

部屋で待ち伏せして犯人を拘束しろ、というの・・・・。できるかしら、わたしに・・・。少しばかり、沙紀は逡巡した。



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