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【人妻】二十八歳の子持ち人妻に女を教えてもらった少年





燃えるように赤いショーツを左手に持ち、空いた右手をそぉっと引き出しの中の下着へと近づけていく。

なんという恥知らず。なんという痴れ者。自身を蔑む言葉が脳内に無数に現れる。



しかし、少年の欲望はそんなものでは止まらなかった。

指先が、ラベンダー畑を小さく濃縮したような紫色の下着に触れる。

と、その時だった。突然、寝室のドアが勢い良く開いたのだ。



「――――――――わああああぁぁぁぁぁぁっっ!?」

「……っ! ちょっと、なにやってるの!」



怒声。

それはそうだ。

引き出されたタンス。

彼の手にはショーツ。

無罪を主張できる状況ではない。

この部屋の主は、今まで彼に見せたことの無い鬼気迫る表情で仁王立ちしていた。



興奮のあまり周囲への警戒が疎かになっていた愚かな少年は、咄嗟の弁解もできずに金魚のように口をパクパクさせるだけだった。



「で、どういうことなのか説明してくれるかしら?」

香山家宅の一階にある和室で、二人は向かい合って正座していた。

紫織は腕組みをして目の前の少年をじっと見つめている。

文太は目を合わせられずに俯いておろおろするばかりだ。



「それは、その……ええと、あの…………」

「はっきり言ってくれなくちゃわからないわよ」

「ううぅ………………」



羞恥でこれ以上ないほど赤面している文太は、

有益な意味を持たない言葉の羅列を口から漏らすばかりで一向に要領を得ない。



「ほら、怒らないからちゃんと言ってよ」



そう言われてやっと、少し緊張が解けたのか、文太はおどおどしながら言葉を紡いでいくのだった。



「あ、ええと、し、下着に……」



「興味があったのね? 見てみたかったのよね?」



「そ、そうです……」



「だからタンスの中を調べた。誰かに命令されてやったことじゃないのよね?」



「は、はい。すみませんでした」



観念し、罪を自白する。

彼の表情は諦めの色で染められていた。



(ああ、もうだめだあ……全部終わった……)

意気消沈する少年。



しかしながら、紫織の口から出た言葉は予想外のものだった。



「……それならいいのよ」

「はひっ!?」



思わず、素っ頓狂な声を上げてしまった。

何が「いい」というのか。

性衝動に突き動かされた物色行為に何の肯定要素があるというのか。

文太には理解不能だった。



「私はね、君がイジメっ子とかに強要されてやったんじゃないかと思ってたの。

 こんなこと言うと失礼だと思うけど、文太君って気が弱そうでイジメられそうなタイプでしょ?

 だからそういうことなんじゃないかなーって心配したんだけど、違うならいいわ」



「え、ええっと、でも僕……」



あれだけのことをした自分を、無罪放免にしてくれるということなのだろうか。

果たして、そんな夢のようなことがあっていいのだろうか。

いや、これはひょっとして夢の中の出来事では。

それとも、自分はとうとう現実と妄想の区別が出来ない人間になってしまったのか……。



そして、自分自身の正気を疑い始めた少年を現実に引き戻すように、人妻は真意を語り始めた。



「いいのよ。見つけた時はびっくりして怒鳴っちゃったけど、君ぐらいの年頃の男の子なら女性に興味を持ってて当然なんだから。私はむしろ、嬉しく思ってるくらいよ」



「う、嬉しい、ですかぁ……?」



文太は驚きのあまり顔を上げた。

ああ、もう何がなにやら。

紫織さんってこんな人だったっけ……?



「ええ。だって君、なんとなく現実の女性よりも漫画とかアニメに出てくる女の子を好きそうじゃない? そういう妙な人達とは違うんだなーってわかって、安心したのよ」



文太は一瞬自分の心の内側を覗かれたような気持ちになった。

図星だったのだ。



優しさの欠片も無い三次元の女よりも、自分の脳内で都合良く補正できる二次元の女のほうがずっと素晴らしいじゃないか。



紫織とその娘の直子という例外はあったものの、毎日そう思って生きてきたのだ。

二次元愛好家達への偏見はあまり気持ちの良いものではなかったが、

しかし、紫織に気にかけてもらっていたという事実は素直に嬉しいと思えた。



(というか、ニジオタって世間じゃ病人みたいに思われるのが普通なんだよな。紫織さんがそういうふうに悪く思うのも当然か……)



「……で、ここからが本題なんだけど」

少しだけ冷静を取り戻した文太に、紫織は話を切り出した。

心なしか、顔がうっすら赤くなっているように見える。



「君、大人の女の人に興味があるわけよね?」

紫織は恥ずかしそうに目を横に逸らしてみせた。

一体、何を言おうとしているのだろうか。少年には全くわからなかった。



「その…………もし……も、もしもだけど、あの……」

膝の上で組まれた手の指がせわしなくと動いている。

躊躇しているのだろう。

こんなにも含羞の色が濃い紫織を見るのは初めてで、文太は新鮮な感覚を覚えた。

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