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【涙腺崩壊】男「僕が、彼女の兄になります」死んだ親友の代わりに”兄”を演じることになった男、自分を捨て新たな人格になったときに起きることは・・・

14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 02:01:10.51 ID:xt8eLDEu0
妹「わたし……昔のこと、全然覚えてなくて」

男「…………」

妹「気がついたときには、このベットで横になってて」

男「うん」

妹「何にも分かんないです……どうなったのかも、自分のことも」

男「……うん」

妹「悪気があるわけじゃなくて」

妹「……いや、すみません。これは、ただの言い訳ですよね……」

男「いいんだ。気にしなくていいよ」

妹「……はい」

男「…………」

男「ちょっと疲れさしちゃったみたいだね」

男「……うん、日を改めて、また来るから」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 02:05:45.51 ID:xt8eLDEu0
──病室前

男「…………」

男性「どうだった?」

男「全く、気づいた様子ではないです」

男性「それは良かった」

男「でも、いいんですか?」

男性「何が?」

男「こんな偽るような真似して、後で問題になりませんか?」

男性「親の私がいいと言ってるんだ。その責任は、私が負う」

男「でも……」

男性「君が、そんなに難しく考えることはない」

男性「ただ、言われた通りにあの子の兄代わりをして欲しい」

男「…………」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 02:13:06.51 ID:xt8eLDEu0
男性「君も、あの子の手首を見ただろう?」

男「それは……」

男性「大惨事だったんだ」

男性「風呂場が血の海で、それを見た妻は失神してしまった」

男「…………」

男性「これ以上、もう誰も失いたくない。分かってくれるか?」

男「はい……」

男性「良かった。それに、これは君にも利がある話なんだ」

男性「だからくれぐれも、良心の呵責に耐えきれなくなって」

男性「あの子に打ち明けるなんてことは、ないようにしてくれ」

男「……分かりました」

男性「よし。なら、会社に行っていいぞ」

男「はい、社長」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 02:20:24.07 ID:xt8eLDEu0
──会社

ドサッ。

男「……え?」

上司「この仕事、明日までに終わらせておくように」

男「ちょ、ちょっと待ってください」

上司「ん?」

男「こんな量……ただでさえ、入ったばかりですし……」

上司「そんなの言い訳になるか?」

男「……いえ、失言でした」

上司「徹夜してでも終わらせろ。いいな?」

男「はい……」

上司「あ? なんだよ、その不服そうな返事は」

男「…………」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 02:25:31.68 ID:xt8eLDEu0
上司「フン、いいよなー?」

上司「こんな不景気でもコネがあるお坊ちゃん様はさー」

男「…………」

上司「中途採用のお前を入れるために、こっちは仲間を一人左遷してるんだ」

上司「加えて、新しく入った奴は即戦力にもならないと来てる」

上司「どれだけ皆の仕事が増えたと思ってるんだ?」

男「申し訳ない……です」

上司「そんなのデスクワークなんだから、さっさと済ませろ」

上司「慣れたらすぐに、外出てもらうからな?」

男「……はい」

上司「ほんと、上の奴は何考えてるか、分かんないわ」

上司「この糞忙しい時に、新卒より使えないボンクラ入れやがって……」

男「…………」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 02:31:18.14 ID:xt8eLDEu0
──自宅

男「……ただいまー」

男「…………」

男「はは、空しいな」

男「返事がないの分かってるのに、慣れでいつも言っちゃう……」

男「……ふぅー」

男「さて、明日の出勤まで、残り二時間」

男「……これじゃあ、眠れないなぁ……」

男「…………」

男「……俺が、兄……か」

男「…………」

男「なぁ、親友」

男「なんで、お前……死んじゃったんだ……?」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 06:00:55.21 ID:xt8eLDEu0
──病院

コンコン。
ガラガラ……。

妹「……あ」

男「うん、また来た」

妹「お、兄さん……?」

男「もしかして、思い出した?」

妹「いや、違うんです。ただ、前にそう言ってたから……」

男「あーそうか……ごめん」

妹「いえ……」

男「え、ええとさっ」

妹「は、はい」

男「……どう? 体の調子とか」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 17:04:58.62 ID:xt8eLDEu0
妹「体はもう回復してるみたいですけど……」

妹「お医者さんの話だと、まだ安静が必要だって」

男「そうか」

妹「呼び方は、『兄さん』……でいいですよね?」

男「あー……」

妹「えっと、前は違いました……?」

男「……そうだなぁー、昔は──『お兄ちゃん』だったなぁ」

妹「『お兄ちゃん』?」

男「うん、小さい頃からずっと、そう呼ばれてた」

男「自分で言うのもなんだけど、本当に仲の良い兄妹だったんだぞ?」

妹「そうだったんですか……すみません、思い出せなくて」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 17:06:10.16 ID:xt8eLDEu0
男「いいんだ、焦る必要なんてないから」

妹「はい……」

男「うん」

男「……『兄さん』……ね」

妹「…………」

妹「……あの、『お兄ちゃん』?」

男「ん?」

妹「仲が良かった昔の話……聞かせてもらえないですか?」

男「…………」

妹「それを聞いたら、わたし、もしかしたら……」

男「……そうだなー」

男「あれは、まだ俺が小学生で」

男「近所にいる仲のいい友達といつものように遊んでたんだ」

……………。
………。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 17:07:04.44 ID:xt8eLDEu0
男『おーい、こっちだ!』

親友『悪い悪い、遅くなって』

男『約束の時間から、もう一時間も経ってるぞ?』

親友『実はさ……その』

?『…………』

男『ん?』

親友『ええと、なんだろ、俺の妹?』

男『妹? お前に妹なんて、いたっけ?』

妹『うぅ……』

親友『すごく人見知りする奴でさ……ほら、挨拶しろって』

妹『そ、その……はじ、初めまして……』

男『う、うん……』


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 17:08:26.01 ID:xt8eLDEu0
親友『遊びに行くっつったら、今日は「私もついてく」って言うんだ』

親友『だからさ……』

妹『……うぅ』

男『……別にいいよ』

親友『本当か? ごめん……ありがとう』

男『気にすんなって! よし!』

妹『……ん?』

男『今日から、お前は、俺の妹になるっ!』

妹『ふへぇ……?』

親友『は……?』


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 17:09:21.34 ID:xt8eLDEu0
男『親友の妹なら、それこそ、俺の妹でもあるわけだろ?』

妹『お、お兄ちゃん……』

親友『いや、えっと……』

男『ん? 親友のことは『お兄ちゃん』って呼んでるのか』

妹『あ、うん……』

男『なら、俺のことは……』

男『──『兄さん』にしようっ!』


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 18:02:58.27 ID:xt8eLDEu0
──社長室

男「……失礼します」

ガチャ。

男性「おー、来てくれたかっ」

男「はい……それで、ご用件は……」

男性「もちろん、あの子のことだよ」

男性「最近、余り時間が取れなくてな……病院に行けてないんだ」

男「そうですか……」

男性「どうだ? 彼女の様子は?」

男「日が経つにつれて、元気を取り戻してるように見えます」

男性「うん、うん。それは良かった」

男「はい……」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 18:10:26.87 ID:xt8eLDEu0
男性「……ん? 浮かない様子のようだな?」

男「え……」

男性「もしかして、会社内のことか?」

男性「確かに、無理やり入れこんだ感があるから」

男性「初めのうちは、君も苦労することだろう。しかし……」

男「……いや、そのことではなくて」

男性「ん?」

男「彼女のことです」

男性「私の娘の話か?」

男「はい」

男性「……どうした? 何が問題だ」

男「これは……いつまで続ければいいんでしょうか?」

男性「…………」


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/07(火) 18:11:41.16 ID:xt8eLDEu0
男「今はまだいいです。彼女が思い出さないうちは、まだ」

男性「けれど?」

男「僕には分からないんです。この仕事の、終わりが」

男性「終わり……か」

男「何をもって達成とするんですか?」

男「彼女が事実を一人で、受け止められるようになってから?」

男性「……それは、恐らくない」

男「…………」

男性「事実がばれたら、そこで全て終わりだよ」

男性「私はまた大事なものを失う。それだけは避けたい」

男「……だから、永遠に隠し通せと?」

男性「いいか。そう難しく考えることなんかじゃないんだ」

男「…………」


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